樫原ドクターの教えて講座

最近増加している後頭神経痛について

後頭部周辺に数秒間出現する頭痛が最近増加していいます。繰り返し起こり、ズキッ、ジカッ、ザクッなど、結構強い痛みのため、患者さんは脳の病気でないのかと心配になり受診されます。片側に起きることが多いので、片頭痛ではないかと考えられる場合があります。

原因のほとんどは、肩こり、首こりによって首筋の筋肉や筋膜が硬くなり、その部位を通過している後頭神経(主に頭皮に分布する)が刺激されて痛みを生じることによります。しかしながら、まれには奥にある椎骨動脈の異常が原因となることもあるので、油断はできません。上部頸椎の異常が原因である場合も時にあります。

以前は、年配の方で、骨や筋肉が老化している状態が基盤にあり、急に力仕事や長時間の草取り作業などで神経痛が誘発されることが多かったのですが、最近は比較的若い年齢の方にも生じるようになっているようです。パソコンやスマホの長時間使用、肩周辺の運動不足、精神的なストレスなどが原因として重要になってきたのではないでしょうか。先日は、小学生が、この神経痛で受診したのには私も驚きました。
心配性の方には、椎骨動脈を調べるためにMRI検査を行うこともあります。症状から頸椎に問題があるようなら頸椎の検査を行います。

治療は、自然に改善することが多いので、原因の説明を行って様子をみることになります。痛みが強くて不眠になるようであれば、筋緊張を軽減する薬を夕食後に短期間服用していただきます。時折ですが、後頭神経科過敏状態になり、頭皮や頭髪に触れても異常な感覚を生じる場合もあり、過敏状態を改善する薬を用いる場合もあります。

肩こりの自覚がなくても、パソコン作業などの合間には、適宜休憩して肩や目の緊張をとるような体操などを行なうようにお勧めしています。