樫原ドクターの教えて講座

vol.7 「死ぬ頭痛」と「治る頭痛」

死ぬ頭痛

今までに経験したことのない頭痛、意識状態に変化のある頭痛、悪化する頭痛などは生命に危険がある頭痛の可能性が高いので緊急で脳外科や脳神経内科のある病院を受診しましょう。
病名としては、

  1. くも膜下出血、動脈解離
  2. 脳内出血、脳室内出血
  3. ヘルペス脳炎、髄膜炎
  4. 脳腫瘍などの可能性があります。

治る頭痛

長期にわたって繰り返す頭痛には、

  1. 慢性頭痛(いわゆる頭痛もちの頭痛)として、3種類の頭痛があります。第一に筋緊張性頭痛、年配のかたの肩こりにともなう頭痛といってもよく、姿勢など生活習慣の改善が必要な場合が多くみうけられます。次に、若い人に多い片頭痛があります。仕事に支障を来たすようなことも多い、繰り返す強い頭痛ですが、トリプタンという特効薬が発売されています。前兆があったり、音や光に過敏になります。三つ目は、頻度は少ないですが群発頭痛という種類で中年の男性に多く、1ヶ月くらい頭痛発作を繰り返します。トリプタンの注射薬や酸素の吸入が改善効果を示します。
  2. 副鼻腔炎(蓄膿症)も頭痛の原因になります。耳鼻科で治療をして改善します。
  3. 頸椎症や頚部の加齢にともなう後頭神経痛がありますが、整形外科やペインクリニックでブロック注射をすればたちまち改善します。ビタミンB12の静脈注射によっても効果が得られることもあります。

手遅れになると危険な頭痛

  1. 帯状疱疹、失神が顔面や後頭部に出ます。治療が遅れると頑固な神経痛を残します。急いで皮膚科で治療を受けましょう。
  2. 慢性硬膜下血腫、3ヶ月以内に頭部打撲のある方に生じますが、頭を打った記憶がない場合もあります。脳外科で簡単な手術をうけると治りますが、治療の遅れは寝たきりや死亡に至ることもあります。
  3. 側頭動脈炎、側頭部の皮膚の血管が腫れて痛みます。内科でステロイドを内服して改善しますが、進行すると失明することがあります。
  4. 緑内障、目のあたりが痛み、視野が狭くなります。手遅れでは失明してしまいます。
  5. てんかん発作のあとで頭痛が残る場合があります。発作は自分では気がつかないことが多いので、様子がおかしく呼びかけに返事をしないような場合は、脳神経内科で診察をうけましょう。
  6. うつ病も、頭が重くて元気がないという症状を示すことがあります。いろいろ調べても異常が見当たらない場合は、精神科でも相談するのがよいかもしれません。

頭痛の原因を調べるのに必要な検査

問診、視診、触診などの他に、診断を確実にするためには、

  1. 頭部(頚部)のCT、MRI検査
  2. 髄液検査(腰椎穿刺)、軽いくも膜下出血や髄膜炎、脳炎が疑わしい場合に行います。
  3. 眼圧測定、脳波、血液検査、側頭動脈生検などが必要な場合もあります。

かかりつけの先生や頭痛外来で相談していただき、精密検査が必要と思われる場合はそれぞれの専門の先生に紹介していただきましょう。